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子どものしつけについて

ワーママの日常

2020.09.11

子どもの「しつけ」のため、子どもを注意する事が(毎日と言ってもいいほど)ありますよね。「机にのってはいけない」「走ってはいけない」・・・○○しなければならないに縛られすぎて、【これで本当にいいのかな?】と思う事が多々あります。
そんな、しつけについて悩んでいた時に出会った本「幼児期―子どもは世界をどうつかむか―(岡本夏木著、岩波新書)」を読んで大変参考になったので、少しまとめてみました。

 

しつけの語源

皆さん、「しつけ」の語源知っていますか?❝しつけ❞という言葉は、『元来、着物を「仕付ける」ということと結びついて、私たち日本人の生活の中に根を下ろして』来たそうです。

『着物を縫う時、あらかじめ形を整えるために仮に縫いつけておくのがしつけですが、大切なことは、いよいよ着物が本格的に縫い上がると、しつけの糸をはずす、ということです。しつけの糸はもはや不要であり、それが残っていることはおかしくなります。この「はずす」ことが、子どもの発達にとっても重要な意味を持つのです。』

子どもの❝しつけ❞も、社会人として生活していく前に❝しつけ❞が不要になるよう、保育者が行うものだという風に理解できます。

 

子ども目線に立った時の「しつけ」

本書では、子どもがしつけのなかで何を自分の中に育てていくのかを考えることが大切であると、書かれていました。その中でも印象に残ったことを2つピックアップしました。

 

① 「自己の実現」と、「他者との関与」

好みも考え方も違う他人と一緒に生活していく中で、相手に合わせなければならない場面や、組織のルールに従わなければならない場面は必ず出てきます。

その中で、子ども達は「しつけ」られた時の苦しい模索の経験を活かして、その場面に対応しながら自分の目標や夢をかなえていく・・・そう思うと、子どもが苦しい思いをしている「しつけ」は、将来その子の役に立つものだな・・・と思えるようになりました。

 

②「待つ力」について

しつけの中で、子どもには待ってもらう(我慢してもらう)場面が多々出てくると思います。今は食事の時間だからクレヨンで遊びたいけど遊べない、自分はすべり台であそびたいけど別の子が使っているので待たないといけない・・・そんな場面に直面することがたくさんありますよね。しつけを行う側も、子どもが「決めごと」を守ってくれるまで、泣いたり怒ったりしている時間を待つ必要がでてきます。

『現代社会の能力主義、時に能率主義によって教育や保育がますます侵害されて、そこでは即時判断のみが要求され、「遅いこと」「時間をかけること」「捗らないこと」「あれこれ迷うこと」はよくないこと』と考えられがちです。

しかし、大人になって何かを成し遂げようとしたときに、うまくいかないことや足踏み状態に陥る場面は多々出てきます。保育者がしつけの際に、自分ができるようになるのを待ってくれた経験は、大人になって自分が待たなければならない場面の際の手本となります。

しつけを行うことで、大人も子どもも「待つ力」を伸ばしているのですね。

 

最後に

本書には、しつける側の不安についても言及されていました。

『今まで、可愛さだけであったわが子が、自分に対して否定や否認、反抗的態度をとってくるのです。~親自身も、愛すること一緒に生きるとはどういうことかをしつけの中で経験してゆかねばなりません。』

しつけについて悩むのは正常なことであり、子どもの立場に立った時に将来子の役に立つ必要な経験であるということを念頭において、子どもと誠実に向き合っていこうと改めて思えました。

みなさまのお役にも立てば幸いです。